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早発卵巣不全(POF)と漢方

卵子について

早発卵巣不全(POF)と漢方

 

東洋医学では、早発卵巣不全をどのようにとらえるのか

第一に腎を考えます。

東洋医学での腎は成長と老化、生殖に関係していて生涯にわたって左右する生命力の源だと考えられています。

腎を温める働きが「腎陽」です。

腎陽のエネルギーになり、腎陽を潤し冷却する体液が「腎陰」です。

腎陽と腎陰は腎の精から作られます。

ですから、腎精不足となると腎と関わる各機関に影響を与え、その人の中で

一番弱いところに症状があらわれます。

車で例えるとエンジンを起動させる働きが腎陽、ガソリンが腎陰です。

ガソリンが満タンでも、起動させるエネルギーがないと車は動きませんし、

起動させるエネルギーがあっても、ガソリンがないと車は走りません。

どちらもなくてはならない関係です。

月経は腎気が充実してはじまることができます。

腎気が充実するためには腎陽、そして腎陽は腎陰を基礎として発動します。

『精とは、生命体が先天的にもっている生長、発育などの生命エネルギーの基本となる物質である。精は、この先天的にそなわった精(先天の精)に、飲食物の運化によって得られた栄養物の最も精選された部分(後天の精)が絶えず補充されることによって維持される。腎に貯えられるので「腎精」とも呼ばれる。精のあらわす機能は元気の基本となる。

一般に、各種のホルモンや下垂体―副腎系の機能との関係が深いと考えられている」

中医学入門より

精が減少すると老化といわれる症状や病症が、あらわれてきます。

POFも腎精の減少が深く関わっているため、補腎填精が治療の軸となります。

しかしながら、補腎するだけという単純なものではなく、その原因は複雑に絡みあっていることが多く腎以外の肺・肝・脾・心とすべての臓器が関係しています。

その中でも肝との関係は大きいです。

肝にも肝陽・肝陰があり、肝陰の一部に肝血があります。

「肝は血を蔵す」といい、肝は血の調整をしていると考えられています。

血は陰の物質で、腎陰、肝血は精に蓄えられたものですので、腎と肝は「精血同源」の関係です。

ストレスがあると肝血が必要以上に使われます。また、毎月の経血の量が多いと血は消耗します。目は血が一番いる場所なので、目の使い過ぎも血の消耗をきたします。

血の虚という状態になることは、POF以外にも不妊・うつ症状・更年期障害の悪化等

症状だと、

手足の冷え・疲れやすい・顔色が悪い・筋肉の痙攣・爪がわれやすい・目が疲れる、乾く・肌の乾燥、荒れ・髪の毛の艶がなくパサつきやすい・気分が落ち込みやすいなど

個人差はあるものの、様々な症状となります。

血虚になることで、子宮の気血を満たすことができずに、でるべき血が少ないため月経の遅延、月経周期の乱れとなります。血虚はPOFの発生のベースとなります。

後天の精は脾から生み出されます。

『脾は水穀(食べ物)・水液(飲み物)の運化を主る』といわれているように、

脾は消化・吸収した食べ物から、後天の精を生み出し、精を含んだ体液を体すみずみまで運ぶ器官です。

脾の機能がなんらかの理由でおちると精や血が作れなくなります。

原因としては、

夜遅くの食事や厚味多食(消化の悪い物)・暴飲暴食・生冷のものの多食等

それ以外では、ストレスによって肝の気が鬱滞し、脾に影響を与える(木剋土)となり

脾胃の機能が損傷され運化機能が働かなくなります。

POFになっていく過程は人によって多様になります。ですが、五臓の陰陽のバランス・

気血水を整え、調整することで、卵巣機能は正常にもどりFSHの値も改善されます。

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